湿製錠®の臨床的有用性
高齢者における口腔乾燥感と嚥下困難感
口腔乾燥の自覚症状は65歳以上で27.6%が、常時口腔乾燥感を自覚していることが認められております。
また、その口腔乾燥の自覚症状は嚥下困難感と有意に関連することが認められており、健康成人と比較して、注意が必要となります。
湿製錠®の崩壊性確認試験
製法の異なる各種の速崩壊性錠剤を用いて、水で服用する場合および唾液のみで服用する場合を想定した試験方法にて、各製剤の崩壊時間を測定しました。その結果、湿製錠®型はどちらの試験条件でも10秒以内に崩壊しました。以上より、湿製錠®型は水分量の影響を受けにくく速やかに崩壊し、水あり・水なしどちらの服用シチュエーションにおいても適した製剤であると考えられました。
【試験内容】
- 使用機器:
- 口腔内崩壊錠試験機 OD-mate®(井元製作所)
- 試験条件:
- 全体浸漬、下端浸潤の2条件にて崩壊時間を測定
- *全体浸漬:水で服用する場合を想定し、試験液として10mL蒸留水の中に錠剤全体が浸る条件
- 下端浸潤:唾液のみで服用する場合を想定し、人工唾液を用いて錠剤の下端のみから液が浸潤する条件

嚥下困難な患者様における剤形の違いによる服用感の違い
「錠剤を飲むとき、飲みにくいことがある」と訴える患者様を対象に、普通錠と湿製錠®の服用感についての評価を行いました。その結果、湿製錠®は普通錠と比較して服用感の点で有意に優れていることが確認されました。
【試験内容】
- 対象者:
- 嚥下障害を有する55〜88歳の25名(平均年齢71.7±7.95歳)
- 使用薬剤:
- (A)湿製錠®、(B)普通錠(一般の錠剤)
((A)(B)ともマンニトール主体の主薬を含有しない直径9.5mmのプラセボ製剤)

利益相反:著者は、執筆時エルメッド エーザイの社員である。